障害年金の基礎知識

障害年金は、障害で働けない方への所得の代わりとなるものです。認定基準というハードルを越えなければ、障害年金は支給されません。

障害年金申請前に、基礎的な事項をご説明させていただきます。

対象となる傷病

障害年金の対象となる主な傷病

様式診断書主な傷病
120号の1 ブドウ膜炎、ゆ着性角膜白斑、緑内障、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、 網膜色素変性症脳腫瘍
120号の2 聴覚 感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷または音響 障害による内耳障害、薬物中毒による内耳障害
鼻腔 外傷性鼻科疾患
そしゃく
嚥下機能
言語機能
咽頭摘出術後遺症、上下顎欠損
120号の3 肢体 くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の離断または切断障害、 重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、脳軟化症、関節リマウチ、 変形性股関節症、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、脳卒中、脳脊髄液減少症
120号の4 精神 そううつ症、老年及び初老期痴呆、統合失調症(精神分裂病)、脳動脈硬化症に 伴う精神病、てんかん性精神病、頭蓋内感染に伴う精神病、その他の老年性精 神病、アルコール精神病、その他詳細不明の精神病
120号の5 呼吸器疾患 気管支喘息、肺結核、慢性気管支炎、じん肺、膿胸、肺線維症
120号の6(1) 心疾患 慢性心包炎、冠状動脈硬化症、リマウチ性心包炎、慢性虚血性心疾患、狭心症、 僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、心筋梗塞
高血圧 高血圧性腎疾患、悪性高血圧、高血圧性心疾患
120号の6(2) 腎疾患 ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎炎、慢性腎不全
肝疾患 肝癌、肝炎、多発性肝膿瘍、肝硬変
糖尿病 糖尿病、糖尿病性と明示された全ての合併症
120号の7 その他 悪性新生物など及びその他の疾患

初診日が大事なわけ

障害の原因となった傷病の初診日に加入していた制度によって受け取る金額が決まってしまいます。
※初診日とは・・・障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日

厚生年金国民年金障害の程度
障害厚生年金1級 障害基礎年金1級 重い


軽い
障害厚生年金2級 障害基礎年金2級
障害厚生年金3級 3級はない

※国民年金に3級はありません(1,2級のみ)

例えば
初診日に国民年金に加入されていた方が、
障害等級1級に認定されれば、障害基礎年金が支給されます。

初診日に厚生年金に加入されていた方(主にサラリーマンなど)が、
障害等級1級に認定されれば障害基礎年金障害厚生年金両方が支給されます。

今現在、厚生年金に加入されている方であっても初診日に国民年金に加入していれば障害基礎年金を受け取ることになってしまいます。

20歳前傷病による障害年金

20歳前に障害の初診日があり、何の年金制度にも加入されていなかった場合は、障害基礎年金を請求することができます。

要件

  • 初診日が20歳未満である
  • 20歳に達した日に障害等級の1級又は2級に該当している。
    (障害認定日が20歳に達した日の後である時は、障害認定日に障害等級の1級又は2級に該当していること)
  • 納付要件は問われない。
  • 65歳までに請求すること。
    (老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けている人は、事後重症による障害年金の請求はできないので、注意が必要です。)

納付要件が問われない分、ある一定の制限がかかります。

  • 労働者災害補償保険(労災)による年金給付など、その他政令で定める年金給付を受けることができるとき。
  • 刑事施設・労役場・少年院などに収容されているとき。
  • 懲役、禁錮、拘留の刑などの執行などのため監獄に拘置されているとき
  • 日本に住所がないとき
  • 所得により支給制限有(停止期間・・・その年の8月~翌年7月まで)
    ○前年の所得が462万1千円を越える場合
    (扶養親族有の場合は1人につき38万円加算)
    ○前年の所得が360万4千円を超える場合
    1/2が支給停止扶養親族有の場合は1人につき38万円加算)

ポイント

初診日から1年6カ月後の障害認定日が20歳の場合
⇒ 20歳に達したらすぐに障害年金の申請ができる。

初診日から1年6カ月後の障害認定日が20歳である場合
⇒ 障害認定日後に障害年金の申請

※20歳前であっても、初診日に厚生年金加入の場合は、所得制限などは行われず、通常の障害厚生年金の請求となります。

特別障害給付金

初診日がかなり前の場合でも「特別障害給付金」という制度があることをご存じですか。

支給の対象となる方

  1. 平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生
    (大学生、専門学校生、短期大学生など・・・)
  2. 昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者等の配偶者(サラリーマンの妻など)であって、当時、任意加入していなかった期間内に初診日があり、現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害の状態にある方
    (65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当された方に限られます。)

支給額

障害基礎年金1級
相当に該当する方
平成26年度基本月額49,700円(2級の1.25倍)
障害基礎年金2級
相当に該当する方
平成26年度基本月額39,760円

※請求した翌月から支給となります。
※一定の所得額以上の場合は、半額または全額が支給停止となるなどの制限がかかりますのでご注意ください。

3つの受給要件

①初診日要件
②保険料納付要件
③障害認定日要件
※この3つの要件をクリアしなければ障害年金を受け取ることが出来ません。

障害基礎年金の受給要件は?

1.初診日要件 国民年金の被保険者であること
又は
被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である こと
2.保険者納付要件

■原則...初診日の属する月の前々月までに被保険者期間の3分の2以上が保険料納付 済期間または保険料免除期間で満たされているということ
■特例...初診日の属する月の前々月までの直近の1年前に保険料の滞納期間が無いこと
ただし、平成28年3月31日までに初診日があり、その初診日時点において65歳未満である場合に限る

※「初診日の属する月の前々月まで」としているのは、当月分の保険料を翌月末までに 納めることになっているので、初診日を基準として保険料の納付月が既に確定しているのは、 初診日の前々月までという理由によるもの

3.障害認定日要件 障害認定日(初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日)において、障害等級 1級または2級の障害状態にあること

障害厚生年金の受給要件は?

1.初診日要件 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日があること
2.保険者納付要件 ■原則...初診日の属する月の前々月までに被保険者期間の3分の2以上が保険料納付 済期間または保険料免除期間で満たされているということ
■特例...初診日の属する月の前々月までの直近の1年前に保険料の滞納期間が無いこと。

ただし、平成28年3月31日までに初診日があり、その初診日時点において65歳 未満である場合に限る
3.障害認定日要件 障害認定日(初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日)において、障害等級1級、2級または3級の障害状態であること

障害年金認定基準

日本年金機構の[国民年金・厚生年金保険 障害認定基準]のページへリンク

障害年金の年金額

障害基礎年金の支給額

障害基礎年金1級 年額993,750円
障害基礎年金2級 年額795,000円
子の加算
1人目   年額228,700円
2人目   年額228,700円
3人目以降(一人増すごとに) 年額76,200円

※加算の対象となる子ども

  1. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子
  2. 20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にある子

障害厚生年金の支給額

障害厚生年金1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額+障害基礎年金額
障害厚生年金2級 報酬比例の年金額+配偶者加給年額+障害基礎年金額
※2級以上の報酬比例の年金額については、3級の最低保障額を下回ることがあります。
障害厚生年金3級 報酬比例の年金額(最低保障額:596,300円)

配偶者加算年額 228,700円

※加算の対象となる配偶者
 65歳未満であること

障害厚生年金(報酬比例)の計算式

A+B

A:平成15年3月以前の被保険者期間の金額

平均標準報月酬(※1) × 7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数(※3) 

B:平成15年4月以後の被保険者期間の金額

平均標準報酬(※2)   × 5.481/1000 × 平成15年4月以後の被保険者期間の月数(※3) 

※1 平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の被保険者期間の各月の標準報酬月額の総額を、その被保険者期間の月数で除したもの
※2 平均標準報酬額とは、平成15年4月以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、その被保険者期間の月数で除したもの
※3 被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。

 また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金額計算の基礎とされません。

気になる障害年金額

障害年金の認定がされた場合の受け取る金額が気になりますよね?
実際の事例をいくつか紹介致します。
(年金額については当時の年金額のまま記載してあります。)

【事例1】障害厚生年金2級+障害基礎年金2級

障害厚生年金(平成25年度価格)2級 871,100円
障害基礎年金(平成25年度価格)2級 778,500円
年額 1,649,600円

【事例2】障害基礎年金2級

子の加算(子供1人の場合)224,000円

障害基礎年金2級 778,500円
子の加算 224,000円
年額 1,002,500円

【事例3】障害厚生年金3級

障害厚生年金(平成25年価格)3級 583,900円
年額 583,900円

【事例4】障害厚生年金2級+障害基礎年金2級

配偶者・子の加算有(子供1人の場合)

配偶者加算:224,000円
子の加算:224,000円

障害厚生年金(平成25年度価格)2級 358,800円
障害基礎年金(平成25年度価格)2級 778,500円
配偶者・子の加算 224,000×2=448,000円
年額 1,585,300円

※平均標準報酬月額は、人によって異なります。